絵を描くのが苦手でも、簡単にそれらしく見える絵を描くコツ

「絵を観るのは好きなんだけど、描くのはどうも…”苦手”」という人達に

”苦手”の理由を聞くと

殆んどの人が「下手だから」とか「うまく描けないから」と言うんですが

本音をよくよく聞いてみると

「卵の形ぐらいは描ける自信はあるけど、他人に見せるとなると…チョット」…と

そんな感じの人がすごく多いんです。

今回はそんな方の為に上手く描けるコツを解説して行こうと思います。

卵の絵の描き方

絵を描くのが苦手という人に

卵の絵を描いてください

と言ったら

たぶん、頭の中でこんな絵を想像するんだと思います。

(図1)

不明.jpg

・・・確かに!!

この絵で胸を張って「卵の絵が描けました」とは言いにくいと思います。

でもこの段階で「やっぱり自分には他人に見せられるような絵は描けない」と判断するのはまだ早いですよ。

下手だと決めつける前に

本当に下手なのかどうか…確かめてみましょう

たとえば、TVの街頭インタビューのように

この絵を持って街に出て、道行く人たちに

「これ、何の絵に見えますか?」って聞いたら

どんな結果が出ると思いますか?・・・考えてみてください。

なかには「う~ん・・・卵…かな?」と

ちょっと考えてから答える人もいるかも知れませんが

最終的には、ほとんどの人が「卵の絵」と答えると思いませんか?

ほとんどの人が「卵の絵」と答えるということは

「この絵の中の卵の形がちゃんと描けている」という証拠ですよね。

ですから、描くのは”苦手”という人達が言っていた

「卵の形ぐらいは描ける自信はあるけど…」というのは本当だったんです。

それなのに「他人に見せるとなると…チョット」…というのは何故なんでしょう?

自分の描く卵の絵に自信が持てない理由とは?

実は、(図1)の絵は下手なんじゃなくて

まだ描き始めの段階で、ちゃんとした「絵」になっていないだけなんです。

卵の形を伝えるだけなら(図1)の絵で十分なんですが

卵をモチーフに描いた「絵」として見てもらうには

どうしても押さえておかなければならない点が二つあるんです。

その二つが(図1)の絵には描かれていないんです。

そのせいで

卵の形はちゃんと描けているのに「絵」として見たときに

なんだか「頼りな〜い感じ」になってしまっているんです。

そのことに気がつかずに

(図1)を描いた段階で自分の絵に自信が持てなくて

「自分は絵が下手だ」と思い込んで

そのまま、絵を描かなくなってしまう人がいるのは

とてももったいない話ですよね。

諦めるのはまだ早いですよ

そこで

以下に「簡単に”それらしく見える絵”を描くコツ」を書いておきますので

参考にして頂ければと思います。

「卵の絵」をそれらしく見せるための二つのコツ

絵を”それらしく見える”ようにするためには

それさえ押さえておけば大丈夫…という点が二つあって

それをきちんと描き込むことが、絵を”それらしく見せる”ためのコツなんです。

それは…背景があることと、陰影がついていること

この二つがあることで

画面の中に、奥行きや遠近感、立体感などが感じられるようになるからです。

さっそく描いてみましょう

一つ目のコツ

 

まず一つ目のコツ…最低限の背景を描きます

大げさに考えなくてもいいんですよ

(図1)の絵に線を一本描き加えるだけす。

すると、こんな感じになります。

(図2)

img104_edited-1-237x300.jpg

どうですか?

横線を1本描き加えただけですが

何となく見た感じが変わったような気がしませんか?

さっきまでは、卵の形が宙に浮いているような感じだったのが

何となく少し落ち着いたような印象を受けませんか?

その理由は、もちろん!横線を加えた事にあります。

卵の形の後ろに一本の横線があることで

この絵の卵の形以外の部分が、横線の上と下の二つに分割されて

そのことが、見る人に「壁と床の境い目」とか「地平線」や「水平線」

その他にも「机やテーブルの天板の端」など

色んな”境界線”を連想させるんです。

それに加えて

横線の中ほどの一部分が卵に隠れていることで

卵が横線の手前にあるように見えるので、何とな~くですが

横線と卵の間に距離感が出て来て”奥行き”が感じられるんです。

それはつまり…

画面の中で「卵」と「それ以外の部分」とが”分離した”ということで

その瞬間に、たった一本の横線が”背景”になったんです。

「たった一本の線でも”背景”の役割を果たすことが出来る」

そのことを知っただけでも”大進歩”ですが

さらにもう一歩進んで、この絵を「…らしく見せる」ために

ここでダメ押しをしましょう!!

二つ目のコツ

 

二つ目のコツ…陰影をつけます

陰影をつける…と言っても難しい作業をするわけじゃありませんよ。

要は、光の当たらない部分を暗く見えるようにするだけです。

「陰影(いんえい)」が「かげ」のことだというのは

絵を描かない人でも知っていると思います

「陰」も「影」も、どちらも「かげ」と読みますからね

でも、その意味が違うことを知っている人は意外と少ないんです

…まあ、日常生活ではほとんど区別して使うことはありませんからね

ですが、絵を描くときには

「陰」と「影」の違いをはっきりと認識しておく必要があります。

その違いを「卵の絵」を例に説明すると

「陰」は、卵そのものにある暗い部分のことで…卵の表面にくっついています。

「影」は、卵で光が遮られて床や地面など…卵以外のところに映ります。

同じ「かげ」でも「陰」と「影」は出来る場所が違うんです。

 

この絵の場合は線だけで描いていますから、陰影も線だけで描くことにして

暗く見える部分に、線を網目のように何本も重ねて描いていって

線が重なる”密度で暗さを調節”します。

* とりあえずやってみましょう

陰影を描くときには、まず光が入ってくる方向を確認(または任意で決める)して

それによって出来る陰影を想定しながら描き進めて行くんですが

ここでは「右上の方から光が入って来ている」と想定して陰影を描きます。

すると、こんな感じになります。

(図3)

img104_edited-2-237x300.jpg

「陰」は、丸い卵の表面にくっついていて

下に行くほど濃くなって、幅も広くなっています。

「影」は、卵の下端から始まっていて

最初は濃く、卵から遠くなるほど薄くなっています。

ここで大事なことは

「影」の始まりを卵の下端にくっつけて描いて

なおかつ平面的に描いてあることで

絵の中の卵が「平らな面の上に置かれているように見える」ということです。

これなら誰が見ても「卵の絵」に見えますよね。

(図1)の絵に「横線を一本描き加えて」「陰影をつける」

この二つのコツを知った上で描けば

(図1)の絵が描ける人なら

簡単に(図3)の絵にすることが出来るんです。

思ったより簡単でしょう?

メモ用紙でもコピー用紙でもいいですし

鉛筆でもボールペンでも構いませんから、身の回りにあるもので

今お話しした二つのコツを踏まえて「卵の絵」を描いてみてください。

きっと「自分は絵が下手じゃなかった」と気がつくと思いますよ。